今後の成長を楽しみにしているピクスタに関して、9月15日にフィスコからレポートが出ていましたので、気になる部分をピックアップしてみます。
正直、ピクスタに関しては、個人的にはかなり強気でいます。
なんせまだ時価総額30億円未満ですから(9/16時点)。
今回のレポートを通して強気目線に確信が持てました。
PIXTA事業について
ピクスタの主力事業はストックフォトマーケットプレイス「PIXTA」です。
過去にこのブログでも度々書いていますが、この事業は、1枚から購入できる「単品」と月額料金を支払うことで決められた枚数まで使える「定額」に収益構造が分かれていて、「単品」の部分はフロー収益、「定額」の部分はストック収益という形になっています。
近年、PIXTA事業については「定額」の割合を増やしていて、今回のコロナのような外部環境の急激な悪化でも経営基盤が崩れにくい構造になってきています。
その様子がレポートにも書かれていたのでピックアップ。
同社は収益安定性増大の見地から定額制の拡大に注力しており、個人やライトユーザー向けの少量定額制プランの導入や、「繰り越し機能」の追加、サイトのモバイル対応強化などのサービス拡充策に取り組んでいる(最新のプランリニューアルについては「中長期の成長戦略・トピックス」で詳述)。その結果、定額制売上の増収率は単品のそれを圧倒しており、両者の差は着実に縮まりつつある。2020年12月期第2四半期のPIXTA事業売上高に占める定額制の割合は46.0%にまで上昇した。
ピクスタ Research Memo(3):PIXTA事業はデジタル素材のマーケットプレイスでトップシェアの地位を確立
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915021
もともと「単品」の割合が大きかったのですが、その差をどんどん詰めていて、最新の四半期では「定額」が46%の比率を占めるようになったと書かれています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で単品売上は前年同四半期比減収となったものの、定額制の売上は堅調に推移し、2つのビジネスモデルで明暗が分かれる結果となった。定額制は売上総利益率が高いため、定額制の売上高の構成比上昇は利益率上昇につながると期待される。
ピクスタ Research Memo(3):PIXTA事業はデジタル素材のマーケットプレイスでトップシェアの地位を確立
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915021
こちらにも抑えておくべき重要な記述があります。
新型コロナによって「単品」部分は影響を受けたものの「定額」部分は堅調に推移したこと。
つまり冒頭で述べたとおり、「定額」は外部環境の急変に強いということです。
またもう一つのポイントなのが、「定額」は売上総利益率が高いという記述です。
想像はしていましたが、その言質が取れたことは有益です。
次に国内のストックフォトマーケットプレイスにおけるPIXTAの位置について述べられた部分をピックアップします。
ストックフォトのマーケットプレイスは国内で主要なものが3社~4社あるが、その中で『PIXTA』は明確にトップランナーの位置を占めている。
(中略)
また、『PIXTA』は日本に関するコンテンツ数において同業他社を圧倒的に上回っている。
(中略)
現状は、『コンテンツが充実⇒顧客が増加⇒投稿数の増大(=更なるコンテンツの充実)』という好循環が働き、同社の圧倒的優位性が日々強まるというステージにある。
ピクスタ Research Memo(3):PIXTA事業はデジタル素材のマーケットプレイスでトップシェアの地位を確立
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915021
PIXTAに限らずマーケットプレイスというのはWinner–take–allの構造になっているのが特徴ですよね。
シェアをいかにつかむかが勝者になる肝ですが、PIXTAは既に国内において勝者の位置にいるということです。
そしてマーケットプレイス事業では勝者の力は競合他社に比べてどんどん強化される外力が働きます。
マーケットの売買が豊富⇒出品者が効率よく稼げる⇒クリエイターが集まる⇒マーケットの魅力が増して売買が増える、という好循環が発生するからです。
それと、PIXTAの強みとして書かれている「日本に関するコンテンツ数が豊富」であるということも大事なポイントです。
確か社長のインタビューだったと思いますが、ピクスタに関する何かの記事で読んだのですが、「日本人モデルの写真」というのが思っていた以上に需要があるそうですね。
PIXTAの法人顧客がどこなのかはわかりませんが、海外のストックフォトサービスだと「日本人モデルの写真」があまり潤沢にないでしょうから、それを豊富にそろえるPIXTAは「日本人モデルの写真」を使いたい顧客にとって非常に有難い存在なのかもしれないですね。
今はインバウンドが落ち込んでいますが、その門戸が開かれる際には、海外向けに「日本人モデルの写真」を用いた広告等が多数展開されることが予想されるので、インバウンド推進を掲げる菅さんが首相になったことは、実は間接的にPIXTA事業に追い風になるのではないか、と私は思っています。
新規事業について
ピクスタの事業の中で新規事業に位置付けられている「fotowa」についても書かれていたので、気になる情報をピックアップします。
まずは出張撮影サービス「fotowa」について。
PIXTA事業を展開しているピクスタは、多くの有能なカメラマンとのコネクションを持っています。
そのコネクションを用いて展開している出張撮影サービスが「fotowa」です。
「fotowa」では日時・場所・撮影ジャンル(七五三・ニューボーンフォト等)を選ぶと、それに対応できるカメラマンの候補を挙げてくれます。
そのカメラマンが過去に撮影した写真を見て、気に入れば指名すると、実際にそのカメラマンに出張撮影をお願いすることができるというサービスです。
ピクスタはカメラマンと利用者をマッチングさせることにより手数料を得るというビジネスモデルですね。
『fotowa』が狙うのは、撮り下ろし市場の中でも街中の写真館における撮影の市場だ。
ピクスタ Research Memo(4):出張撮影サービスのfotowa事業はニューボーンフォトが七五三と並ぶ柱に成長
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915022
「fotowa」が狙う市場は、街中の写真館。
写真館で撮影をしたことがある人ならわかると思いますが、あれってべらぼうにお金がかかるんですよね。
確かに思い出に残る良い写真を撮ってくれるのです。
それは間違いないのですが、数十分の撮影時間で数万円、データを買うには数万円、冊子にするには数万円という感じで、ものすごい勢いでお金を巻き上げられるシステムなんです。
また、最近はカメラ自体の機能向上やカメラを趣味する人口の増加によってアマチュアの中でもプロ並みの写真を撮れる人がたくさんいます。
そんな「隠れた才能」と「思い出に残る素敵な写真をお手軽な価格で利用したいという利用者ニーズ」をマッチする画期的なサービスだと私は思っています。
そんな「fotowa」の強みについて次のように書かれています。
『fotowa』はこの市場において、以下の3つの強みで切り込んでいる。1つ目は「場所を自由に選べるのでナチュラルでおしゃれな写真が期待できること」だ。写真館の撮影は画一的なテイストのフォーマルな写真であることがほとんどだが、『fotowa』は全47都道府県でサービスを提供していることも強みとなっている。2つ目は「わかりやすい一律料金」だ。平日19,800円、土日祝日23,800円(税抜)となっており、登録フォトグラファー指名料や出張料込みのため、追加料金などは発生しない仕組みとなっている。3つ目は「写真データを受け取れること」だ。60分の撮影で、枚数も原則75枚以上が保証されている点も安心だ。
ピクスタ Research Memo(4):出張撮影サービスのfotowa事業はニューボーンフォトが七五三と並ぶ柱に成長
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915022
もうここを読んだだけで私なんかは「あ、これは成功するな」と感じてしまいます。
だって利用したいもん。
「fotowa」の今後の成長のカギは、登録されているカメラマンをいかに増やすかだと思っています。
これに関しては、ある程度能力のある人のみを採用しないと「fotowa」サービス自体の評判を下げてしまうので難しいところですが、サービスが認知されて広がっていくにつれて有能なカメラマンも集まってくるという好循環に入っていくと思いますので、今は認知度をあげて「出張撮影サービス=fotowa」というくらいになることを目指す時期だと思っています。
足もとの各事業の動向
各事業の足元の状況についてもレポートされていました。
これも次の期の業績を見通すにあたり有益な情報なのでピックアップしておきます。
(1) PIXTA事業・定額制
(中略)
緊急事態宣言期間(4月~5月)に新規購入者が若干減少したものの6月には回復し、コロナ禍以前の水準を超えて推移、過去最高の週もあるほどである。
ピクスタ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染症拡大の影響から足元は回復基調
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915025
PIXTAの定額部分は極めて堅調な様子です。安心しました。
(2) PIXTA事業・単品
(中略)
新規購入者が若干減少したものの6月には一定の回復をしており、期初の想定には届かないものの、前年同期の水準までは回復する予想だ。
ピクスタ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染症拡大の影響から足元は回復基調
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915025
単品部分も6月から回復してきているとのこと。
ただし前年同水準だということで、PIXTA事業のみでみると、「単品」の部分を「定額」で補えるかどうかが次の期の決算の数字に表れそうです。
(3) fotowa事業
(中略)
予約件数の推移で見ると、1月に前年同期比50%増となったものの、4月には同98%減とほぼ予約がなくなった。一方で6月には同40%増まで回復している。
ピクスタ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染症拡大の影響から足元は回復基調
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915025
これは確か前回の決算説明にもありましたので、新しい情報ではないです。
7月以降がどのような推移になっているかが気になりますね。
(4) Snapmart事業
マーケットプレイスでは8割以上の顧客が定額制を利用しており、コロナ禍においても成長を維持した。
一方でオンデマンド撮影では、飲食業界・宿泊業界などからの受注が減少したことに加え、業況の良い食品業界などでは広告宣伝の優先順位を下げたケースもあり、オンデマンド撮影全体として減速した。6月以降も回復は鈍く、本格回復は9月以降にずれ込む予想だ。
ピクスタ Research Memo(7):新型コロナウイルス感染症拡大の影響から足元は回復基調
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200915025
Snapmart事業は、マーケットプレイスとオンデマンド撮影の大きく二つの収益構造になっています。
扱っている写真が、カメラで撮ったようなテイストの写真か、スマホで撮ったようなテイストの写真かの違いだけで、PIXTA事業(カメラ撮影)⇒Snapmartのマーケットプレイス事業(スマホ撮影)、fotowa事業(カメラ撮影)⇒Snapmartのオンデマンド事業(スマホ撮影)、というような事業イメージです。
Snapmartのマーケットプレイス事業はPIXTAとは違って8割が定額での利用ということで、このコロナにおいても成長を維持しています。
対面しなくてはならないオンデマンド撮影はfotowaと同じくコロナの影響が直撃していて、本格回復には時間がかかっているようです。
fotowa事業にしてもSnapmartのオンデマンド撮影にしても、対面が必須のサービスが今の情勢下で厳しいのは当然のことです。
逆に言うと、この一時的な低調が解除されるタイミングには、だいぶ見栄えの良い数字が出てくると思いますので、それを逃さないように動きたいなと思っています。
おわりに
今回はピクスタに関するフィスコレポートを記事にしました。
レポートからあまり新たな情報は得られませんでしたが、第三者情報により私がイメージして企業動向の確認が取れたことは良かったです。
今後も成長を続けていく会社だと思っているので、握力高めで見守っていこうと思います。
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