先日、日銀ETF貸付開始に関する記事を書きましたが、今日は買付に関して。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う金融市場や経済の動揺を抑える措置として、日銀がETF購入目標金額を従来の年6兆円から倍額の年12兆円に引き上げたのは3月のこと。
そこからどのようにETF買付が行われてきたのかをこの辺りで見ておくことにしました。
買付金額の推移
まずは日銀買付額の推移を見ていきましょう。
上のグラフは1~6月までの日銀のETF買付額の推移を示したものです。
赤い線が今年で、比較のために青い線で昨年のデータも重ねています。
これを見てもらうとわかるとおり、3月~4月にかけて、怒涛の勢いでETF買いが行われています。
1日あたりの買付額も昨年は700億円程度だったものが今年の3月以降は1,000億円にまでなり、3月後半は1日あたり2,000億円もの買付が行われています。
これだけ大きな金額を動かせば、市場からしてみれば大きな買い支え要因となったことでしょう。
3月にまとめて大きな金額を買い付けているようですが、かなりハイペースに見えます。
言っても今年はまだ半分、この買付ペースで年末まで持つのでしょうか。
次のグラフで何となくイメージがつかめるかと思います。
上のグラフはETF買付金額を累計にしたものです。
やはり赤線が今年、青線が昨年を示しています。
ご覧の通り、3月に急激な傾きになっており、ここからもこの時期にハイペースで買付をおこなったことがわかります。
そして、2020年6月15日現在までの累計金額で、既に昨年1年間の累計金額を超過しているという状況です。
その累計金額は約4兆5,000億円になります。
改めてすごい額ですね。
そこで冒頭の話に戻りますが、今年の日銀がETF買付の目標額として設定しているのは、12兆円でした。
そこからするとまだ執行率は40%にも満たない状況です。
これから先で下落が起こったとしても、買い余力たっぷりの日銀が大きく口を開けてまっている、という状況はしばらく続きそうです。
日経平均と買付時期の比較
次に日銀がETFを買付した時期と、日経平均の動向を重ねてみていきましょう。
上のグラフは、今年の日銀ETF買付金額の推移と日経平均終値の推移を重ねたものです。
青線がETF買付額、赤線が日経平均です。
日銀が大きく買付を行った時期が振り返ってみると株価が底をつけた時期になっています。
5月の後半以降の上昇局面になってからは、日銀の買付はほとんど行われていません。
非常にうまくやっているなと思います。
そして注目したいのはグラフの終わりのところ。
先週末に、久しぶりに2日続けて1,000億円級の買付が入っています。
先週末と言えば市場が若干崩れた場面ですが、日銀はしっかりそれを察知して買付を行っています。
ただし、今までの買付の位置からすると、だいぶ高い位置で買付出動したように見えます。
このことが意図するのはどういうことなのか、今後の日銀の動きにも注意が必要だと思います。
おわりに
今日は日銀のETF買付動向についてチェックしてみました。
超巨大クジラである日銀の動向は、市場全体のムード醸成にも影響しますので、注意深く観察していく必要があります。
もしかしたら、個別銘柄の動きをみる以上に、大事なことなのかもしれません。
今後も動向をチェックしていこうと思います。
コメント