今日は日本の株式市場に大きな影響を与えそうな日銀のETF貸付について記事にします。
昨日は久しぶりに日経平均に大きな下落が見られ、ここのところの右肩上がりに水を差す状況が見られています。
最近の右肩上がりを支えていた要因の一つが、日銀のETF大量購入です。
日銀は今までも市場からETFを大量に買い付けていましたが、このコロナ禍においてその速度を加速させてきました。
そして今日から、日銀が大量に保有するETFを金融機関等に貸し付ける制度が実運用されます。
MSQ、そして今回記事にする日銀のETF貸付開始が重なる今日、相場がどうなるかは要注目です。
日銀のETF貸付制度導入について
日銀のETF貸付制度導入が決まったのは、昨年の12月に遡ります。
2019年12月18・19日に開催された政策委員会金融政策決定会合において、日銀が保有するETFを市場参加者に一時的に貸し付けることを可能とする制度の導入について諮られ、全員一致で決定されました。
その目的は、
「ETF市場の流動性の向上を図る観点から」
とされています。
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/minu_2019/g191219.pdf
日本銀行 政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨 (2019年12月18、19日開催分)
そして、その会合での決定と時を同じくして、「指数連動型上場投資信託受益権の貸付けに関する特則」が公表されています。
日本銀行 指数連動型上場投資信託受益権の貸付けに関する特則
こちらには、日銀が保有するETFを金融機関等に貸し付けるためのルールが定められています。
ちなみに、貸付期間は1年以内と制定されています。
この貸付に関する特則は2019年12月に制定されていたものの、どうして今になって貸付が始まるのでしょうか。
日銀から2020年3月31日に次のような公表資料が出されています。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200331e.pdf
日本銀行 「指数連動型上場投資信託受益権の貸付けに関する特則」の実施日について
これによると、実施日は2020年4月1日となっており、既に実施がされているように思えます。
ただし、実施日=取引開始日ではなく、「今後、受託者および貸付対象先との間で貸付事務にかかる確認試験を行い、所要の準備が整ったところで、取引を開始します。」と書かれていることに注意が必要です。
その取引開始がいつなのか。
今日です。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2020/rel200611c.pdf
日本銀行 指数連動型上場投資信託受益権の貸付けの取引開始について
日銀のETF貸付開始により何が起こるか
さて、日銀のETF貸付開始により何が起こるかを考えていきましょう。
いきなり結論から言ってしまうと、市場がどのように反応するかはわかりません。
一つわかるのは貸借市場が活性化すること。
日銀が大量の保有株を市場に放出することにより、格段に空売りはしやすくなると思います。
現在は、日銀の買い支えもあってETFは高水準で推移していますから、貸借市場が活性化するとこれまでの状況を覆すような流れが発生する可能性もあります。
一方で、最大12兆円という超巨大ETF買いプレーヤーとしての日銀はまだ存在するため、その存在も忘れてはなりません。
貸借市場が活性化し、値が下がったら日銀砲が発動し、ということが起こりそうで、最終的に市場がどのような方向に向かうのかは、はっきり言ってわかりません。
ただし、小さくはないインパクトが発生する可能性が高いので、今日からの動向は注意深く観察していく必要があることは間違いなさそうです。
おわりに
今日は、日銀のETF貸付取り扱い開始に関する記事を書きました。
今までと潮流が変わりそうな気もするし、超巨大クジラの日銀がそれをも飲み込んでしまうような気もするし、どちらにしてもかなりハイリスクな状況が続くと思いますので、今日からのトレードは慎重に取り組んでいこうと思います。
ただし相場が荒れるとそれだけチャンスが転がり込んでくると思いますので、この機会に優良銘柄の株価動向も忘れずにチェックしておきたいところです。
荒波を乗り越えて大きく稼げるといいなと思っています。
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