本日、保有株の一つピクスタが第1四半期決算を出しました。
コロナ禍を受けてのはじめての決算になります。
結果を簡単にレビューしてみようかと思います。
前四半期決算の振り返り
まずは前四半期決算(2019.12期 通期決算)の振り返りから。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3416/ir_material_for_fiscal_ym/76857/00.pdf
ピクスタ株式会社 2019.12期 通期決算説明資料
(百万円) | 2018.12期 通期 | 2019.12期 通期 | 対前年増減 |
売上高 | 2,514 | 2,759 | +9.8% |
営業利益 | 110 | 160 | +45.5% |
営業利益率 | 4.4% | 5.8% | +1.4pt |
純利益 | 20 | 90 | +332.2% |
売上・利益ともに当期予想に比べてやや未達で、その理由として下期におけるPIXTA単品、fotowa事業の苦戦が挙げられていました。
中身をみると、PIXTAの定額制(ストックビジネス部分)の売上高は前期比26.4%増、snapmartの売上高は前期比83.1%と高い成長率を示していました。
個人的には、PIXTA事業は単品部分の売上げ増減はあまり気にしておらず、安定した企業基盤となる定額制部分を気にしています。
なので、この部分が伸びていることで、一安心という決算内容でした。
また、新規事業snapmartも高い成長率で急進しているので、この事業の今後も楽しみなところです。
前年同四半期決算の振り返り
続いて前年同四半期決算の振り返りを。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3416/ir_material_for_fiscal_ym/64457/00.pdf
ピクスタ株式会社 2019.12期 第1四半期決算説明資料
(百万円) | 2018.12期 Q1 | 2019.12期 Q1 | 対前年増減 |
売上高 | 614 | 685 | +11.4% |
営業利益 | 36 | 65 | +79.2% |
営業利益率 | 6.0% | 9.6% | +3.6pt |
純利益 | 11 | 37 | +218.6% |
前年同期に比べて売上で11.4%、営業利益で79.2%増という高い成長率を叩き出していました。
この数字からも成長過程にあることがみてとれます。
なお、当期(2019.12期 1Q)においては、ピクスタ事業の単品・定額制の内訳は以下の通りでした。
- 単品:407百万円(64.5%)
- 定額:224百万円(35.5%)
これに対して、2019.12期 通期においては、このようになっています。
- 単品:1,520百万円(60.8%)
- 定額: 982百万円(39.2%)
注目すべきは、定額部分の比率ですが、これがQ1から通期にかけて高まっています。
変動のある”単品”から安定的な”定額”へ売上げ構成がシフトしてきているということで、この傾向が2020.12 Q1においても継続しているかが、一つのポイントと考えています。
2020.12 第1四半期決算レビュー
さて今回の決算です。
期待と不安が入り交じっていましたが、個人的な思いとしては、想定範囲内に落ち着いて一安心といったところでした。
全体概要
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3416/ir_material_for_fiscal_ym/80385/00.pdf
ピクスタ株式会社 2020.12期 第1四半期決算説明資料
(百万円) | 2019.12期 Q1 | 2020.12期 Q1 | 対前年増減 |
売上高 | 685 | 669 | △2.2% |
営業利益 | 65 | 16 | △74.7% |
営業利益率 | 9.6% | 2.5% | △7.1pt |
純利益 | 37 | △5 | – |
まず、全体の概要ですが、上の表のとおり売上・利益ともに前年同期比でマイナスの数字となってしまいました。
決算説明資料の中でもあげられていますが、新型コロナウイルスの影響による企業の広告支出の変動によるデジタル素材需要の減少が要因と考えられます。
ただし、その影響範囲は社会情勢により変動を受けやすい”単品”部分の減によるもので、”定額”部分はこのコロナ情勢においても安定して推移している様子がみてとれます。
PIXTA事業の”定額”部分に着目
主力のPIXTA事業について、単品と定額の売上比率に着目してみたのが下の表です。
(百万円) ※下段は合計売上額に占める割合 | 2019.12期 Q1 | 2019.12期 通期(累計) | 2020.12期 Q1 |
単品 | 407 (64.5%) | 1,520 (60.8%) | 364 (28.3%) |
定額 | 224 (35.5%) | 982 (39.2%) | 260 (41.7%) |
2019.12期について”定額”の比率が高まってきたのは、上で述べた通りですが、その傾向が2020.12期についても継続していることがわかりました。
また、”単品”部分は前年同期比で減収になっていますが、”定額”部分は増収です。
つまり、コロナ禍のような事態に陥っても、”定額”部分において安定した収入が得られる事業形態に変わりつつあるということがうかがえます。
下の表も決算資料からの抜粋ですが、”定額”部分の売上・月間購入者数累計・一人あたり平均月額購入数を示したものです。
2019.12 Q1 | 2019.12 Q2 | 2019.12 Q3 | 2019.12 Q4 | 2020.12 Q1 | |
売上 (百万円) | 224 | 239 | 253 | 265 | 261 |
月間購入者 数累計(人) | 17,630 | 18,695 | 19,477 | 20,449 | 20,617 |
一人あたり 平均月間 購入額 (円/人) | 12,709 | 12,822 | 12,997 | 12,973 | 12,706 |
これを見ると、月間購入者数累計は、前四半期から微増しています。
なお、一人あたりの単価は下がっているため、売上としては減少になっています。
このことから、広告出費を自粛しなければならない事態になっても、”定額”の顧客はPIXTAのサービスを継続して利用していることがうかがえます。
ただ、このコロナ禍の状況が長く続くようだと、この”定額”の数字にも更なる影響が出てくると思うので、引き続き注視が必要です。
通期計画
さいごに、通期の計画について。
こちらはもっと保守的に出してくるかと思っていたのですが、意外に強気な数字が出てきました。
Q1の数字を見る限り、「コロナの影響を見通すことができないため、現時点で通期の計画を立てることはできない」でも良さそうな気がしますが、増収増益の数字を出してきたことは驚きました。
経営陣の手応えが感じ取れて、ここは好印象です。
ただし、まだまだコロナ情勢は落ち着かなそうなので、本当に達成出来るかどうかは眉唾ものですけどね。
おわりに
今回の決算は、コロナの影響でPIXTAの”単価”部分が減少したことで、見た目的には悪い数字が出てきました。
ここ最近株価が急騰していたので、明日以降はしばらく低迷する動きになるかもしれないですね。
ただ、私は長期目線なので、短期的に安くなることはむしろ歓迎です。
引き続きの成長に確信が持てる決算だったと思います。
そんなわけで、株主の贔屓目決算レビューでした。
コメント
[…] 上で紹介した2020.12期Q1決算レビューの記事にも書いてありますが、コロナ禍の状況においても”定額”部分は、”単品”部分ほどの落ち込みを見せていなかったので、”定額”の売上比率が高くなればなるほど、安定した経営基盤が構築できると考えられます。 […]
[…] 上で紹介した2020.12期Q1決算レビューの記事にも書いてありますが、コロナ禍の状況においても”定額”部分は、”単品”部分ほどの落ち込みを見せていなかったので、”定額”の売上比率が高くなればなるほど、安定した経営基盤が構築できると考えられます。 […]