主力投資先のスカラに関してフィスコからレポートが出ました。
11ページにも渡る長文でしたが、一見の価値ありです。
ほとんどは既知の情報でしたが、私がまだ認識していないものもありましたので、備忘録として記事にしておきます。
SaaS/ASP事業について
ソフトブレーン売却後のスカラの経営基盤となるのは主にはスカラコミュニケーションズが役割を担うSaaS/ASP事業ですが、そこについて具体的な数字があったのでメモしておきます。
「i-search」は2007年からサービスを開始し、現在は大手企業を中心に導入社数が400社以上、市場シェアは15%前後で業界トップシェアとなっている。
(中略)
月額利用料金は平均10~15万円
スカラ Research Memo(3):「i-search」「i-ask」などで国内トップクラスのシェア誇る
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914017
「i-ask」は2008年頃からサービスを開始し、金融・保険業界向けを中心に約200社に導入されている。
(中略)
業界シェアは約15%とオウケイウェイヴ<3808>に次ぐ2位となっている(月額利用料金は平均20~30万円)
スカラ Research Memo(3):「i-search」「i-ask」などで国内トップクラスのシェア誇る
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914017
こういう具体的な数字は先を見越す上では有難いですね。
導入社数×月額料金(下限)で計算すると、「i-search」「i-ask」の2つサービスだけで、400×10+200×20=約8000万円の収入があるという計算になります。
また利益率については次の記事がありました。
SaaS/ASP事業の特徴としては、売上収益の約7割を月額課金収入で占めており、契約の積み上げに応じて毎月収益が積み上がるストック型のビジネスモデルとなっていることが挙げられる。従量料金は極力採用せず、月額固定料金のみでサービスを提供することを基本方針としている。また、主要サービスの売上総利益率は約80%と高い(ニュース配信サービスはコンテンツの仕入れコストが掛かるため約70%と低くなる)。
スカラ Research Memo(4):顧客目線の開発による利便性の高さと豊富なサービスメニューで他社との差別化を図る
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914018
先ほど計算した「i-search」「i-ask」は間違いなくスカラグループの主要サービスなので、先ほどの数字を使って売上総利益を計算すると、8000万円×0.8=約6400万円/月の利益ということになります。
この計算はあくまでも「i-search」「i-ask」というサービスのみでの数字になります。
そして今季(2021.6期)の数字についても次のとおり言及がありました。
2021年6月期のSaaS/ASP事業は、2ケタ増収増益となる見通しだ。「i-ask」「i-search」などSaaS/ASPの月額課金収益が積み上がっていくほか、前期に減少したカスタム開発案件の売上増も見込めるためだ。
スカラ Research Memo(9):2021年6月期の業績は継続事業ベースで10%以上の増収増益となる見通し
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914023
月額課金は引き続き順調、コロナの影響を受けたカスタム開発も復調ということですね。
そして私にとって最も良い情報だったのは次の文章です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で遅延していた保険募集システムや「1クリック見積システム」の横展開が見込めるほか、「xID」の金融機関、人材サービス会社向けへの導入が見込まれる。人材サービス会社では派遣者の登録作業などを簡便にするため「xID」の活用を検討するところも出ていると言う。また、継続的に開発案件のある損害保険ジャパン向けについても、比較的規模の大きいテレマティクス分野の案件が2021年6月期は予定されている。
スカラ Research Memo(9):2021年6月期の業績は継続事業ベースで10%以上の増収増益となる見通し
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914023
1クリック見積システムの横展開もさることながら、ついに「xID」×スカラが実現しそうです!
私がスカラに一番期待しているのがこのxIDとの資本業務提携を活かした事業展開なので、この動きが伝えられたのはとても嬉しいです。
ゆくゆく狙うところは地方行政だと思いますが、まずは懇意にしている民間事業者からということでしょうか。
別の記事にはこんな情報も。
今後、同社グループが抱える顧客企業や自治体など幅広いネットワークで導入を目指していく考えで、既に金融機関からは口座開設時などの身分証明用として「xID」の引き合いが出始めている。
スカラ Research Memo(7):主力のSaaS/ASP事業は中期経営計画実現に向けた取り組みを推進(2)
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914021
xIDがまだ普及してない今、民間事業者にとってもこのサービスを導入することで他者と差別化を図ることが出来ますし、ファーストペンギンになることで話題性もあると思いますので、民間事業者にとっても悪くない話だと思います。
小さな案件でも良いのでどんどん実績を積み上げていってほしいものです。
その他気になったところ
SaaS/ASP事業以外で気になったところとしては、まずは子会社スカラプレイスの事業「カードショップ – 遊々亭 -」について。
スカラプレイスによるEC事業の売上収益は巣ごもり需要も追い風となって、対戦型ゲームのトレーディングカードの売買が活況に推移したことにより、前期比14.9%増の986百万円となり、営業利益も開発費増を増収効果で吸収して同13.9%増の131百万円と好調に推移した。
スカラ Research Memo(7):主力のSaaS/ASP事業は中期経営計画実現に向けた取り組みを推進(2)
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914021
現在は「その他事業」というセグメントにて決算計上されている子会社スカラプレイスの事業ですが、良い感じに収益をあげられるようになってきているんですよね。
今後はECサイト「カードショップ-遊々亭-」のスマートフォンアプリ版のリリースと、AIによる自動買付価格設定機能を2020年内に実装する予定にしている。ネイティブアプリの導入によって、スマートフォンでの売買がより簡単にできるようになること、AI機能の実装で今まで人が判断していた買付価格の設定を自動化できることなどから、流通額の一段の拡大と生産性向上が期待される。
スカラ Research Memo(7):主力のSaaS/ASP事業は中期経営計画実現に向けた取り組みを推進(2)
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914021
スマホアプリのリリース、そして得意のAIを活かして自動買付価格設定機能の追加と更なる改善をしているそうで、今後も成長路線は続きそうです。
その他、ミャンマー事業に関して次のような記事がありました。
海外展開としては、第1弾としてミャンマーに進出する。
(中略)
また、保険についてもプルデンシャル生命保険(株)と提携し、共同で販売とマーケティング活動を開始するなど積極的な事業展開を進めている。
スカラ Research Memo(10): 2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を目標に掲げる
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009350020200914024
ミャンマーで協力会社と共同で保険事業を行うことは以前から伝えられていましたが、その具体的な動きが伝えられたのは安心しました。
「販売」とあるので、すでに営業活動段階ということなんでしょうか。
このあたりも詳報が待たれますね。
さいごに
今回はフィスコのレポートについてでした。
スカラの現在の動きについて、水面下のものも含めて情報が多くあったので、時間がある時に改めて読み返してみようと思います。
それぞれの計画が順調に動いている様子が見られて安心しました。
今後会社からどのような情報が公式なものとして出されるのか、楽しみに待ちたいと思います。
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