今日は改めて主力投資先であるスカラについて書きたいと思います。
前に記事を書いたんだけどやっている事業のことを何も触れていなかったので、何やってる会社かがさっぱりわからないものになっていました。
なので、今回はスカラの事業内容にフォーカスをあてて記事を書いてみようと思います。
大作の予感。。。
株式会社スカラってどんな会社?
まずはじめに気を付けなきゃならないのは、”前株”の方ですからねー。
“後株”のスカラも別にありますが、私がこれからご紹介するのは”前株”の方のスカラですので、お間違えの無いよう。
スカラは度重なるM&Aによって複数の会社が傘下にあり、現在は企業の公式サイトもスカラグループとなっていますね。
スカラグループ公式サイト (アドレスも”グループ”になっています)
上場されている4845スカラは、そのスカラグループ各社の持株会社です。
投資対象としてのスカラを見る場合には、株式会社スカラ単体ではなく、グループ全体を見る必要がありますので、まずはスカラグループの全体像についてみていきたいと思います。
スカラグループって何やってるの?
それではスカラグループが何をやっているのかを見ていきましょう。
公式サイトのスカラグループについて紹介されているページには次のように書いてあります。
スカラグループは、あらゆるステークホルダーに対して
新たな価値を創造する機会を提供する『価値共創プラットフォーム』です。
幅広い領域をカバーするグループ企業や共創パートナーと連携しながら、
クライアント企業全体の価値向上を目指す「価値創造経営支援事業」、
社会問題の解決に直結する「社会問題解決型事業」、
それらの実現に必要な「IT/AI/IoT関連事業」の3つの事業を展開していきます。
スカラグループ公式サイトから引用
・・・ぷしゅー。
・・・わかります?・・・わかんないですよね。
私は初めてこれを見たとき、正直言って何言ってるかさっぱりわかりませんでしたが、よくよく調べるととても壮大かつグループの今後に関わる大事な内容であることがわかります。
スカラグループとして携わっていく事業としては、次の3つ、1.価値創造経営支援事業、2.社会問題解決型事業、3.IT/AT/IoT関連事業、に分類されています。
これらは2019年8月14日にプレスリリースされた中期経営計画COMMIT5000によって新たに定義されたこれからのスカラグループの事業分類になります。
株式会社スカラ 中期経営計画COMMIT5000
この中期経営計画のタイトル”COMMIT5000″にある5000の部分は2030年度の売上収益目標である5,000億円からきていると思われます。
2019年度のスカラの売上が171億円ですから、非常にチャレンジングな目標であることが容易にわかりますよね。
さて、事業分類に立ち返りまして、この3つの新分類ですが、なんとこのうちの2つは新事業領域となります。
下の表は、COMMIT5000から引用したものですが、IT/AI/IoT関連事業以外は、新設された事業であることがわかります。
新セグメント | |
新設 | 価値創造経営支援事業 |
既存事業 の強化 | IT/AI/IoT 関連事業 |
新設 | 社会問題解決型事業 |
既存事業はIT/AI/IoT 関連事業に分類されて、新事業として”価値創造経営支援事業”、”社会問題解決型事業”の2つが新設されています。
これが今後のスカラグループがカバーしていく事業領域ということです。
それでは、その一つ一つを確認していきたいとおもいます。
事業1:IT/AI/IoT 関連事業
一番書きやすいこの事業から説明します。
これはスカラグループが今まで築き上げてきた事業で、COMMIT5000の中では”IT/AI/IoT 関連事業”として新たにカテゴライズされています。
COMMIT5000にも書かれているIT/AI/IoT 関連事業の主要サブセグメントとしては、、①SaaS/ASP、②SFA、③フィールドマーケティング、④コールセンター・その他が挙げられています。
このサブセグメントは、下の記事でまとめました直近決算における事業分類と概ね紐づいているので(直近決算:カスタマーサポート、COMMIT5000:コールセンターとなっているなど一部違いはあります)、既存の事業がまるまる新分類における”IT/AI/IoT 関連事業”に集約されたとみて良いと思います。
事業2:価値創造経営支援事業
こちらについては、これからスカラグループが対応する新領域となります。
COMMIT5000から主要サブセグメントを確認すると、①価値創造総合アドバイザリー、②ファンド(②-1エンゲージメントファンド、②-2 CVC)、③投資家向けコミュニケーション支援とあります。
①価値創造総合アドバイザリー
①価値創造総合アドバイザリーとは、中身を見る限り、企業経営に対するコンサルティングののようです。
具体的に書かれているキーワードとしては、”M&Aアドバイス”、”AI/IoT導入”、”人事や組織の在り方、研修・リーダー育成事業”、あたりでしょうか。
今まで数多くのM&Aで業務規模を大きくしてきた実績と、培ってきたAI/IoT技術を融合させることで、クライアント企業の価値向上に寄与する提案を行う事業という感じです。
M&Aの提案においては、完全子会社化したジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(JFR)のノウハウが最大限活きることでしょう。
株式会社スカラ 簡易株式交換によるジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社の完全子会社化に関するお知らせ
また、”人事や組織の在り方、研修・リーダー育成事業”については、先日完全子会社化したGGHのノウハウを活かすことを考えているのではないでしょうか。
株式会社スカラ グリットグループホールディングス株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
②ファンド
②ファンド(②-1エンゲージメントファンド、②-2 CVC)については、そのままですね。
②-1 エンゲージメントファンドは、①価値創造総合アドバイザリー業務でバリューアップの可能性が見込める企業に投資してキャピタルゲインを狙うものです。
②-2 CVCは、有望なベンチャー企業への投資をして、確実なEXITを目指す業務となっています。
既に株式会社スカラの完全子会社である株式会社スカラパートナーズからCSVインベストメント事業の第1 号案件が出てきています。
株式会社スカラパートナーズ 就労困難者特化型HRシステム「NEXT HERO」を開発・運営するVALT JAPAN株式会社へ出資
③投資家向けコミュニケーション支援
③投資家向けコミュニケーション支援は、上場している顧客企業の埋もれた価値を炙り出して実現するために、エクイティストーリーの作成・統合報告書・説明会支援・AI を通じた最適な投資家の抽出及び投資家ミーティングの設定・スポンサード証券アナリストレポートの作成などを行う業務とのことです。
①で有望な企業の発掘・その企業に対するAI/IoT技術提案・経営提案、②で自ら投資、③で投資家コミュニケーションの支援・クライアント企業の本来価値発現、と、関係する企業のバリューアップ過程に関与しながら自らも利益をあげるという一石何鳥かわからない事業内容になっています。
この”価値創造経営支援事業”においては、ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社のノウハウを中心に動いていくものと思われます。
当たり前っちゃ当たり前ですが、スカラが行ってきた過去のM&Aにはちゃんと意味があるんですよねぇ。。。
事業3:社会問題解決型事業
こちらも従来まではなかった新たな事業領域になります。
これも具体的な中身を把握するために、COMMIT5000から主要サブセグメントを確認すると、①発展途上国対象(①-1 保険、①-2 教育)、②環境問題、③地方創生、④投資ファンド 、⑤特許知財データベース、とあります。
①発展途上国
①については、発展途上国を対象に、「保険」と「教育」の分野から取り組む事業です。
COMMIT5000にも書かれておりますが、すでにミャンマーをモデルケースとして実践を開始していて、成功すれば他国にも展開していくとのことです。
①-1 保険分野で取り組んでいることとしては、「食習慣の改善」「健康意識の促進」「病気の予防意識」をスカラグループが持つツールやサービスを提供しながら啓蒙しつつ、サービス利用を通じて得られたパーソナルヘルスのビッグデータをAI技術を用いて解析・保険データに変換し、その保険データを使って大手保険会社と連携した保険ビジネスの事業化を目指しているとのことです。
また、医療についても医者不足を補うために、先進国医療との連携によるリモート治療体制の構築を目指すとのことです。
①-2 教育分野では、IT+経営など実業に関する教育の提供による起業家創出、現地発展への寄与を事業化するとのことです。
教材の電子化、e-learning、学習結果の分析、競争意識づけアプリ、などのキーワードも出ていますので、これらを今後、具体化していくことと思われます。
なお、上でも出てきたGGHは人材事業・食育事業・IT技術研修事業など、①発展途上国での事業を進めるにあたり必要なビジネスの種をたくさん持っていると思われます。
また、ミャンマーにてフィンテック展開に向けたミャンマーの銀行とMOU締結を行っているので、ミャンマーという実践フィールドにも適しています。
①発展途上国対象事業を推進していく上で、GGHの完全子会社化は、とても合理的なM&Aだっといえるのではないでしょうか。
①発展途上国事業は、健康や教育という途上国における社会問題を改善しつつ、保険ビジネスや医療ビジネスに結び付けるなど、パートナー企業にも貢献するという、現地良し・パートナー企業良し・スカラ良しの三方良しの事業となっています。
これは、スカラグループが掲げる「価値共創プラットフォーム」に通じるものではないでしょうか。
どうですか?意味がわかってきた気がしませんか?
②環境問題
こちらはまだ具体化はこれからという感じですが、微生物テクノロジーによる課題解決プラットフォームを立ち上げる予定だということです。
“地球規模の資源循環利用の課題”と”微生物テクノロジーリソース・ソリューション”のそれぞれをデータベース化し、”AI等を活用した課題と微生物テクノロジーの最適マッチングアルゴリズム”を用いた”コラボレーティブ・インテリジェンス・プラットフォーム”によりマッチングするビジネスのようです。
まずはデータベースの構築からですかねー。
環境問題に資するような価値共創パートナーはまだ見当たらないような気がしますので、この先に具体的な動きが出てくるかもしれません。
③地方創生
出ました地方創生。
これについては、先日リリースされた情報でも出ていたように、すでに多くの動きがありますね。
株式会社スカラ 中期経営計画COMMIT5000 フォローアップレポート
まずは、完全子会社のスカラパートナーズとblockhiveの資本業務提携。
株式会社スカラ 株式会社スカラパートナーズと GovTech1企業の株式会社 blockhive による、電子国家・エストニアの技術を活用した次世代デジタル ID 技術の普及に向けた資本業務提携締結のお知らせ
そしてそのblockhiveが、身分証アプリ”xID”を提供開始。
株式会社スカラ 電子国家・エストニアで誕生 ブロックチェーンを活用したデジタル社会の身分証アプリ”xID”を、スカラパートナーズの資本業務提携先・blockhiveが日本で提供開始
同じくblockhiveが電子契約の新サービス”e-sign”の利用受付を開始。
株式会社スカラ 『ハンコ文化』に変化を。一生無料で使える電子契約の新サービス“e-sign”スカラパートナーズの資本業務提携先・blockhiveより利用受付を開始
そして、スカラとブランディングテクノロジーの業務提携。
株式会社スカラ 新デジタル化時代の地方創生を牽引 スカラとブランディングテクノロジーが業務提携
怒涛の展開ですよね。
様々なパートナー企業を巻き込みながら、確実に事業を推進している様子がみてとれます。
なお、ここでも地方創生事業を実施しているGGHのノウハウが活かされます。
新事業の中では、この地方創生事業が一番早く実を結びそうな気がします。
④投資ファンド
これはそのまんまですね。
事業体が別途設立する必要が投資ファンドを設立して、資金を提供し、長期的なキャピタルゲインを狙うとのことです。
⑤特許知財データベース
これもそのまんま。
る特許・知財のデータベースを作り、AI でマッチングアルゴリズムを生成し、上記の各種取り組みにおける課題を、リソースの最適な組み合わせを支援する、とのことです。
おわりに
今回の記事、書くのめっちゃ疲れました。。。
それだけスカラグループが手掛けようとしている事業領域が幅広すぎる。
ただ、スカラの場合、それを自分たちだけで実現しようとするわけではなくて、パートナー企業も巻き込んだ「共創」によって実現しようとしているわけです。
冒頭で掲げた「価値共創プラットフォーム」というのも理解できますよね。
事業展開スピードが早いのも、この”共創”というコンセプトにより発現されるものでしょうね。
IT,AI,IoTなどの培ってきた技術を土台に、時には必要な技術を持つ企業をグループに取り込み、時には必要な技術を持つ企業と手を組みながら、社会に求められる価値を共創していく。
それがスカラグループということです。
これが時価総額100億円ちょいとは、、、ほんまかいな、という感じです。
主力投資先ということでだいぶ熱が入ってしまいました。
このペースだとしんどいので、今度からもうちょいライトな記事を書こうと思います。
はぁ。疲れた。
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