日本経済、少なくとも株式市場は、コロナ前の水準まで戻りつつある今日このころ。
コロナの下落を乗り越えた人たちには、プチバブリーな状況が訪れています。
私も甘い汁を吸わせて頂いて、このところは株を握りしめているだけでほとんどトレードもしていないので、今日は経済の話でも。
完全な興味本位ですが、新型コロナ対策の財源となっている補正予算について調べてみました。
新型コロナ対策の予算はどこを見ればわかるの?
新型コロナ対策の予算はどこに書かれているか?
予算を管轄する省といえば、そう、財務省ですね。
「財務省」「予算」で検索をかけると、毎年の予算に関する情報がずらりと出てきました。
この中から、「令和2年度予算」をクリック。
すると、概算要求から時系列で令和2年度予算成立までのトピックが出てきます。
令和2年度予算は既に成立済みなので、ページをめくってみると、下の方に「令和2年度予算は政府案どおり成立しました。」とあります。
政府案のリンクをクリックすると、下図のページに。
このリンク先にある「令和2年度予算のポイント」をクリックすると、ポイントをまとめた資料が出てくるのですが、これには「新型コロナ」の文字が全く出てきません。
報道でもありましたが、新型コロナ対策の費用は、補正予算に回されたのでした。
というわけで、新型コロナ対策費は令和2年度の補正予算の方に出てきます。
令和2年度補正予算(第1次)
さて、新型コロナの対策費が計上されている令和2年度の補正予算(第1次)を見ていきましょう。
第1次補正予算は令和2年4月30日に成立済みです。
なので、先ほどの令和2年度予算に関するページを下の方にめくっていくと、「令和2年度補正予算は政府案どおり成立しました。」という文言があるので、その政府案のリンクをクリック。
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費として計上されているのは、255,655億円となっています。
その内訳は、下の表の通りです。
項目 | 費用(億円) ※下段はコロナ対策費に対する占有率 |
感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発 | 18,097 (7.1%) |
雇用の維持と事業の継続 | 194,905 (76.2%) |
次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復 | 18,482 (7.2%) |
強靱な経済構造の構築 | 9,172 (3.6%) |
新型コロナウイルス感染症対策予備費 | 15,000 (5.9%) |
こうしてみると、対策にかける費用のうち、「雇用の維持と事業の継続」が圧倒的だということがよくわかりますね。
実に19兆円もの公費がつぎ込まれています。
ひゃー。すごい金額。
そし更にこれの内訳をみると、その金額の原因が何かわかります。
雇用の維持と事業の継続 の小項目 | 費用(億円) ※下段はコロナ対策費に対する占有率 |
雇用調整助成金の特例措置の拡大 | 690 (0.3%) |
中小・小規模事業者等の資金繰り対策 | 38,316 (15.0%) |
中小・小規模事業者等に対する新たな給付金 | 23,176 (9.1%) |
全国全ての人々への新たな給付金 | 128,803 (50.4%) |
子育て世帯への臨時特別給付金 | 1,654 (0.6%) |
この小項目を足し上げても大項目の数字にならないのが気持ち悪いのですが、資料上読み取れないのでそれは無視するとして。
注目したいのは、第1次補正予算のうち、実に5割が「全国全ての人々への新たな給付金」にあてられているということです。
国民全員に一人あたり10万円を配るあれです。
日本で暮らす人の数に10万をかければこれに近しい数字になるのであたり前っちゃあたり前ですが、予算の半分がこれだという事実は個人的には結構驚きました。
約13兆円は何に使われるの?
さて、第1次補正予算の半分を費やした国民一人あたり10万円の給付金ですが、その資金はどこへ向かうのでしょうかね?
考えなければならないのは、「この10万円が入らないと暮らしていけない人が日本全体でどれくらいいるのか?」ということです。
日本の緊急事態宣言期間は2か月で終了しました。
世界ではまだまだコロナの感染者数が拡大し、むしろスピードを増しているため、このあと国内でもまた二次流行が来るかもしれません。
しかし、現在の国内の状況は、一旦流行が落ち着いて経済活動が戻ってきたところです。
この間、はたして致命的なダメージを受けた企業がどれくらいいるのでしょうか。
確かに飲食店は大きなダメージを負ったものの、大企業で倒産が相次ぐというニュースは、私が知るところ見当たりません。
日本の企業は世界でも稀なくらい内部留保が多いのが特徴です。
ある程度規模の大きな企業の多くは、2か月営業停止をくらった程度で倒産してしまうようなことにはならないと思われます。
ましてや、この機会に各社のリモートワーク環境も進み、ある程度規模の大きな会社で、完全に営業が停止してしまったところはほとんどないのではないかと思います。
むしろリモートワーク導入により、生産性が向上した企業すらあるのではないでしょうか。
そのような会社に勤めている人たちは、この自粛生活においても特段生活に困ってはいないはずです。
出費が減って家計は助かっているという方も意外と多いのではないかと思われます。
そんなところに10万円単位のまとまったお金が入ってきたらどうするでしょう。
外食や旅行はまだちょっと無理だから家電を買おうって人はいると思いますけど、私は「投資」という選択肢も少なからず出てくるのではと思っています。
ここのところ相場は好調ですが、参加者は国内では比較的資金に余裕がある人たちだと思います。
相場に参加する多くの人たちの実経済が今回のコロナを機に致命的に悪化したとはとても思えないのです。
となると、10万円給付のうち、一定程度は相場に流れてくるのではないでしょうか。
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/nlsgeu0000043n00-att/j-bunpu2018.pdf
日本取引所グループ 株式分布状況調査
上のリンクにあります日本取引所グループの調べによると、日本の株主数は5,600万人もいるそうです。
だいだい日本の人口の4割強です。
このうち、10%程度の人が給付金の半分を相場に突っ込んだと仮定すると、
12.8兆円*0.4(投資家割合)*0.1(給付金を投資に回す人の割合)*0.5(給付金の半分)=2,560億円
なかなかのインパクトですね。
そして、給付金により新たに株を買い始めようという人は上記の計算の外というのもポイントです。
おわりに
新型コロナ対策の予算から、国民一人あたり10万円給付が多くの割合を占めていることがわかりました。
また、ラフな計算で、給付金の向かい先についてもシミュレーションしてみました。
前提条件はだいぶ荒いので、数字は全くあてになりませんが、相場にも小さくはないインパクトがありそうです。
補正予算は第1次で終わりではなく、現在は第2次補正予算の成立を目指しているところとか。
このような大きな流れも見ながら、株式市場の動向を見ていこうと思います。
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