今週は、現在の主力投資先の一つであるリミックスポイントについて分析していきます。
リミックスポイントは、昨期まで三期連続で最終赤字を計上していましたが、今期は大幅な黒字予想です。
1月には、もともと26億の黒字と予想していた今期の営業利益を63億に修正する超絶上方を出すなど足元の業績は絶好調です。
それをけん引するのが、子会社のビットポイントジャパンが手掛ける暗号資産取引所ビットポイントです(リミックスポイントのセグメントとしては、「金融関連事業」に区分)。
急成長の様子を、最大手コインチェックの動向との比較なども交えながらみていきたいと思います。
リミックスポイントの業績は?
まずはリミックスポイントの業績を簡単に見ていきます。
冒頭にも書いたとおり、ここ最近の業績は三期連続の赤字でした。
この2022.3期になって急激に売上を伸ばしていますが、この要因となっているのが、子会社ビットポイントの業績改善です。
株式会社リミックスポイント 2022年3月期 第3四半期 決算補足説明資料より抜粋
上は直近の決算説明資料から抜き出したものですが、金融関連事業のセグメントが売上高・営業利益ともに大幅に伸長していることがわかります。
この金融関連事業のセグメントに含まれるのが、子会社ビットポイントの業績ということになります。
過去の不正流出事件を乗り越えて
現在業績をけん引するビットポイントですが、2019.7には、評価額30億円の暗号資産が不正流出する事件などもあり、業績としては低迷していました。
ちなみに、2018.1に発生したコインチェックの不正流出は評価額580億円と桁違いでしたが、30億円も不正流出額としては十分に大きな額で、この時期は立て続けに事件が発生して、世間では取引所に対する不信感が広がっていましたね。
しかしながら、早期に暗号資産(当時は仮想通貨と呼称されていました)に手を出した人たちの間では、暗号資産は自分で管理するもの、という声も聞かれ、暗号資産そのものに対する評価はそれほど棄損されませんでした。
ちなみに、2019.7における代表的な暗号資産であるビットコインの日本円とのレートは約120万円、現在は約500万円ですから、あれほどの事件が立て続けにありながらも暗号資産そのもの評価はむしろ向上していると言えるのではないでしょうか。
さて、ビットポイントに話を戻して、続いては足元の業績を見ていきましょう。
ビットポイントの業績は?
ビットポイントの業績が上向いてきたのは、実は最近のことです。
2019.3にリミックスポイントはビットポイントを完全子会社化しています。
しかし、それ以降長らくの間、金融関連事業のセグメントは、ずっと営業赤字を計上し続けていました。
セグメント単位で営業黒字になったのは、2021.3期の第3四半期(2020年10~12月)からです。
このタイミングで黒字化したことには、大きく2つの要素が挙げられています。
黒字化の理由① 新システムの稼働
黒字化の一つめの理由は、新システムの稼働です。
下記の特徴を持つ新システムを2020年7月31日にリリースしました。
ユーザー視点ではUI/UXの大幅改善が重要なポイントかと思いますが、同時に挙げられているプライシング機能改善も経営視点では非常に重要だったのではないかなと感じています。
ビットポイントは暗号資産の現物取引の手数料は無料となっているので、ビジネスとしての成否はプライシングにかかっています。
そこの部分で改善が図られ、「収益化された最適なプライス生成」が実現できるようになったことが、後の飛躍に繋がったのではないかと考えられます。
それは、下のグラフにも表れています。
新システムが稼働した2020年8月以降もしばらくは単月赤字でしたが、2020年11月から黒字に転じていて12月には大幅黒字へと成長しています。
取引所としてはユーザーのトレード回数が多いほど儲けに直結する部分があるので、どうしてもマーケットに依存してしまいますが、マーケットが活況になった際にそれをうまく収益化するにはプライシングが重要になるので、新システムによりその改善が図られたのは、後の成長を見据えると非常に大きな要素だったのだろうと思います。
黒字化の理由② 暗号資産市場の活性化
ビットポイントにとって非常に追い風となったのは、2020年10月以降(ビットポイントの決算区分では、2021.3期 Q3に該当)の暗号資産市場の活況です。
上の図は、暗号資産の代表格であるビットコインの価格推移です。
2020年10月頭には110万円程度で推移していたものが、そこから数か月の間に一時800万円に迫るほどの高騰を見せました。
これはビットポイントにとっても強い追い風となりました。
7月末に新システムにより機能改善を図っていたのが功を奏して、ここで一気に黒字転換したのは上で述べた通りです。
その後も現在まで、ビットコインの価格は上下をしながらも500~600万円台で推移しており、暗号資産界隈の活況は継続しています。
その後のビットポイントの業績も上図のとおり、2021.3期 Q3以降は、毎期、黒字を出し続けています。
そして、最新の2022.3期 Q3では上図のとおりとんでもない業績飛躍となりました。
同時期の競合他社の動向は?
ここまでの話を読むと、暗号資産市場が活況だったから黒字になったということは、業界全体が底上げされただけで、ビットポイントの経営努力ではないのでは?と思われると思います。
私もそう思っていました。
ここで、そうした考えを払しょくするために、国内最大手の取引所であるコインチェックの足元の業績を見てみます。
上図は、マネックスグループの最新決算のデータからコインチェック(クリプトアセット事業のセグメントに計上)の業績を拾ってきたものです。
これを見ると、やはりビットポイントと同様に、2021.3期 Q3以降は業績好調で、Q4には100億円以上の営業利益を出していました。
しかし、2021.3期 Q4をピークに業績は下り傾向、最新の四半期では、なんとセグメント単位で営業赤字となってしまいました。
ビットポイントの2022.3期 Q4決算はまだ出ていないので、最新の情報は比較できないですが、少なくとも2022.3期 Q1~Q3にかけての動向は、右肩あがりだったビットポイントと右肩下がりのコインチェックで対照的です。
この業績の差が生まれた要因として考えられるのは、最近、ビットポイントにて新たに取り扱うコインが増えていることが挙げられます。
ビットポイント取り扱いコイン増加による更なる攻勢
新システムと市場活況により黒字化を果たしたビットポイントですが、そこから更に攻勢をかけます。
それは、日本初を含む、新規コインの取り扱い開始です。
下のグラフは、ビットポイントから公表されている口座数の推移に、新規取り扱いコインの情報を重ねたものです。
日本初の取り扱いとなるTRX(トロン)を皮切りに、ADA(エイダ)【日本初】、JMY(ジャスミー)【日本初】、DOT(ポルカドット)【日本初】、LNK(チェーンリンク)と立て続けに新規コインの取り扱いを開始しました。
その効果は抜群で、上記グラフのとおり、口座開設が爆発的に増えています。
増えたのは口座開設数のみではなく、上記グラフのとおり、販売所のアクティブユーザー数も爆発的に増加しています。
前年同時期に比べて約6倍という絶好調ぶりです。
ビットポイントでは、上記のグラフの範囲外ですが、その後も2022.1.26にDEP(ディープコイン)【日本初】の取り扱いを開始、2022.5.10(予定)にはIOST(アイオーエスティー)の取り扱いを始めることを公表しています。
ものすごいスピードで、取扱いコインを広げています。
そしてこれらの新規取り扱いコインについては、しばらく板取引は開始せずに、販売所のみでの取り扱いというのもビットポイントの収益に貢献する大きなポイントかと思います。
おわりに
今回は、主力投資先の一つであるリミックスポイントについて、子会社ビットポイントの絶好調の理由の側面から分析してみました。
2022.3期 Q4決算は5/13予定ですが、他セグメントの動向もあるので連結業績は楽観視はできないものの、金融関連事業単独ではそこそこ良い業績を挙げてくるのではないかとみています。
蓋をあけてみないとどうなるかわかりませんが、今期の確定数値、そして来期予想にどんな数字をもってくるかは注目したいと思います。
もしかしたら、直近であまりに業績が急変しているので、未定で出してくるかもしれませんけどね。
今週のトレードと現在の保有状況&含み損益
先週&今週のトレードは確定-13,399円でした。
保有は以下のとおりです。
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