本日は、主力投資先であるスカラの決算がでましたので、レビューします。
さて、結果は。。。
前四半期決算の振り返り
まずは前四半期決算の振り返りから。
https://scalagrp.jp/pdf/ir/library/data/20200219_setsumeikai1_2020-2Q.pdf
株式会社スカラ 2020.6期 第2四半期決算説明資料
(百万円) ※下段は対前年増減率 | 2019.6期 Q2 | 2020.6期 Q2 |
連結 売上収益 | 8,405 | 8,606 (+2.4%) |
営業利益 | 1,135 | 747 (▲34.2%) |
SaaS/ASP事業 売上収益 | 1,844 | 2,051 (+11.2%) |
セグメント利益 | 317 | 169 (▲46.4%) |
SFA事業 売上収益 | 2,423 | 2,510 (+3.6%) |
セグメント利益 | 516 | 378 (▲26.7%) |
フィールドマーケティング事業 売上収益 | 1,956 | 2,102 (+7.4%) |
セグメント利益 | 141 | 131 (▲7.5%) |
カスタマーサポート事業 売上収益 | 1,340 | 1,103 (▲17.7%) |
セグメント利益 | 26 | 28 (+8.4%) |
その他 売上収益 | 840 | 837 (▲0.3%) |
セグメント利益 | 133 | 38 (▲70.9%) |
前四半期のスカラの決算は、前年同期比で増収減益となっていました。
減益の理由は同じ資料に書いてありますが、主には開発費の増加と移転に伴う一時的な費用となっています。
現在は、中期経営計画実現に至るまでの”踊り場”状態だということで、投資が先行しているようです。
それがわかるのが下の表です。
これは柱事業の一つであるSaaS/ASP事業をグループ内の会社別に見たものです。
(百万円) ※下段は対前年増減率 | 2019.6期 Q2 | 2020.6期 Q2 |
(株)スカラコミュニケーションズ・(株)スカラサービス 売上収益 | 1,735 | 1,759 (+1.4%) |
セグメント利益 | 590 | 630 (+6.8%) |
(株)スカラネクスト 売上収益 | 0 | 0 (-) |
セグメント利益 | 0 | ▲62 (-) |
(株)コネクトエージェンシー 売上収益 | 108 | 291 (+169.4%) |
セグメント利益 | 13 | 33 (+153.8%) |
(株)スカラ 売上収益 | 0 | 0 (-) |
セグメント利益 | ▲300 | ▲449 (-) |
他セグメントとの関係会社間取引 売上収益 | 0 | 0 (-) |
セグメント利益 | +14 | +18 (-) |
合計 売上収益 | 1,844 | 2,051 (+11.2%) |
営業利益 | 317 | 169 (▲46.4%) |
柱の一つであるSaaS/ASP事業を担うグループ会社は、”お金を稼ぐ会社”と”投資先行の会社”があるようですが、お金を稼ぐ会社の柱であるスカラコミュニケーションズとスカラサービスにおいては前年度比増収増益となっています。
一方で、投資先行の会社であるスカラネクストとスカラでは、投資費用のみの計上となっています。
グループ内で稼いだお金を、今後のために先行投資している流れがみてとれます。
仮に前年度と同じ投資額(スカラの3億円のみ)だとしたら、さらに2億円(スカラコネクトの62百万円+スカラの149百万円(前年度投資額との差分))が上乗せできた計算です。
それだけ、投資先行の時期にあるのが現状のスカラグループの立ち位置ということでしょう。
現状としては営業利益の一部を投資に回しているので、営業利益が少ないことはあまり気にしないです。
それよりも、コロナ禍においても安定した売り上げをあげられているかということが、個人的には今回決算でチェックしておきたいポイントです。
また、スカラは連続して増配を続けていて、今期も増配予定が示されています。
その方針が継続されるかどうか、というところも、一つのポイントとしてみています。
2020.6期 第3四半期決算レビュー
さて、今回の決算をみていきましょう。
まだ決算説明資料は出ていないため(たぶん数日後?)、短信からのレビューになります。
https://scalagrp.jp/pdf/ir/library/gyoseki/20200515_tanshin2006-3Q.pdf
株式会社スカラ 2020.6期 第3四半期決算短信
(百万円) 下段は対前年増減率 | 2019.6 Q3 (累計) | 2020.6 Q3 (累計) |
売上収益 | 12,781 | 12,853 (+0.6%) |
営業利益 | 1,702 | 1,036 (▲39.1%) |
税引前利益 | 1,692 | 1,022 (▲39.6%) |
四半期利益 | 1,138 | 664 (▲41.6%) |
親会社の所有者に 帰属する四半期利益 | 754 | 373 (▲50.5%) |
上の表は、Q3の連結経営成績(累計)です。
売り上げこそ微増となりましたが、営業利益は前年度比で39.1%のマイナスとなっています。
活発な先行投資による営業利益率の低減傾向は前期からも表れていたので、それが継続している状況です。
まだ”踊り場”なので、これは仕方ないでしょう。
次に、累計だとQ3単独での動きがわかりづらいので、Q2の数字との差し引きでばらしてみたのが、下の表です。
(百万円) 下段は対前年増減率 | 2019.6 Q3 (Q3のみ) | 2020.6 Q3 (Q3のみ) |
売上収益 | 4,326 | 4,249 (▲2.9%) |
営業利益 | 567 | 289 (▲49.0%) |
税引前利益 | 566 | 288 (▲49.1%) |
四半期利益 | 382 | 191 (▲50.0%) |
親会社の所有者に 帰属する四半期利益 | 296 | 118 (▲60.1%) |
Q3のみの数字で昨年度比をみてみると、累計ではプラス推移だった売り上げについても、マイナスとなりました。
これだけだと理由がどこになるのかわからないので、主力4事業ごとに売り上げ・営業利益の内訳を抜き出してみたのが下の表です。
(百万円) 下段は対前年増減率 | 2019.6 Q3 (Q3のみ) | 2020.6 Q3 (Q3のみ) |
1.SaaS/ASP事業 売上収益 | 1,126 | 1,049 (▲10.0%) |
セグメント利益 | 292 | 49 (▲83.2%) |
2.SFA事業 売上収益 | 1,169 | 1,236 (+5.7%) |
セグメント利益 | 187 | 135 (▲27.8%) |
3.フィールドマーケティング事業 売上収益 | 956 | 975 (+2.0%) |
セグメント利益 | 87 | 69 (▲20.7%) |
4.カスタマーサポート事業 売上収益 | 733 | 577 (▲21.3%) |
セグメント利益 | 17 | 29 (70.6%) |
これを見ると、売上減となっているのが、1.SaaS/ASP事業と4.カスタマーサポート事業で、2.SFA事業と3.フィールドマーケティング事業は増収となっています。
このうち、2.SFA事業と3.フィールドマーケティング事業については、短信の中にコロナによる悪影響が述べられています。
それにも関わらず、前年度比増収ということで、事業としては順調に進捗していることが見て取れます。
また、4.カスタマーサポート事業については、短信の中で、「利益率の低い受託業務を整理し、より利益率の高いサービス提供に注力」とあるので、その結果としての減収・増益ということでしょう。
短信から読み取れなかったのが、1.SaaS/ASP事業の減収についてです。
1.SaaS/ASP事業について、短信では、「ストック売上収益は累積的に増加」とあり、久留米市や佐野市などの地公体や損害保険ジャパンやSOMPOシステムズなどの民間企業にサービス導入の事例が書かれているのみでした。
ストック部分は順調に積みあがっていることなので、それ以外の変動部分がコロナの影響を受けた一時的なものと思いますが、念のため今後も経過観察していこうと思っています。
また、もう一つ注目していた配当ですが、従来の予想配当である1株あたり28円を崩すことはありませんでした。
これは個人的にはとても安心しました。
増配等を継続してくれる会社というのは、それだけ長期投資家を味方につけられますからね。
【サプライズ】中期経営計画COMMIT5000フォローアップレポート
個人的にサプライズだったのは決算と同時に中期経営計画のフォローアップを出してきたところです。
こちらの記事でも書きましたが、スカラの魅力の一つが多すぎる将来展望の話です。
その将来展望が書かれているのが、中期経営計画COMMIT5000なのですが、これは以前に一度公表されたきりだったので、その存在を知らない人も多くいると思います。
この資料をフォローアップという形で、再び人の目に触れるところにあげてきたということは、経営陣が本気でそこを目指して動いていることの証左と言えるのではないでしょうか。
このフォローアップの中で、「最も具体的に進捗している取り組み」として挙げられているのが、デジタルトランスフォーメーションによる地方創生です。
具体的には、デジタル身分証アプリ「xID -クロスID」を活用した行政サービスの電子化の提案を展開予定とのことですが、これが進むことでどのように良くなるのか、というのが同じ資料中にありましたので、下に引用します。
これを見ただけで、行政の窓口業務が劇的に改善されることがイメージできますよね。
日本では、総人口に占める公務員の人数が世界と比較してとても少ないそうです。
この行政電子化が進めば、行政の仕事が効率化されて、より充実した行政サービスにするために人手をさけるようになるでしょう。
おわりに
今回の決算ですが、コロナ禍の影響は出ていたものの、致命的なレベルには全くなっておらず、将来に向けた先行投資が継続中という状況が見て取れました。
また、増配予想も継続しており、こちらも株主としては一安心です。
SaaS/ASP事業の売上減少のみ読み取れなかったので、後日出てくると思われる決算説明資料にて詳細が出てきたら改めて記事にしようと思います。
そして、壮大な中期経営計画COMMIT5000についても、その大きな目標に向けて進捗をしているということで、こちらについても先々が楽しみなものになっております。
ということで、以上、株主による贔屓目レビューでした。
コメント
[…] 決算については、上の記事でも書いたとおり、累計期間では前年度比で増収減益、Q3のみでは減収減益という結果になりました。 […]
[…] 決算については、上の記事でも書いたとおり、累計期間では前年度比で増収減益、Q3のみでは減収減益という結果になりました。 […]