原油ETFをさわってみたよ
下の記事にてちらっと話の出ていた原油の話。
ちょっと面白いことになってるようなので、備忘用として記事にしておきます。
私が原油に興味をもったのは、大きなニュースになった原油先物価格暴落から。
直近限月の原油先物価格が0ドルを割り込んでマイナス価格になったという衝撃のもの。
正直、先物は扱ったことなくて仕組みも良くわかっていなかったのですが、「これは何かヤバいことが起きているな」というのと、「もしかしてここで勉強したらチャンスかも」という思いがありました。
そこから短期間で猛勉強をして、原油先物や原油ETFについて学んだのでした。
ETF WTI原油価格連動型上場投信 1671について
いくつかある原油投信ものから目をつけたのがこれ。
というか、あまりたくさんのものに手をつけると勉強が間に合わなくなるので、とりあえず「ETI原油」「ETF」というキーワードで引っかかったのがこちら。
このETFは、WTI原油先物の直近限月に連動するような運用を目指した投信が市場で買えるというものです。
調べたところによると、WTI原油はアメリカのオクラホマ州クッシングで現物取引がされるもので、需要のほとんどがアメリカ国内消費によるものとのこと。
アメリカはシェールオイルのおかげで今や世界一の産油国となったわけですが、コロナによる経済活動停止を受けて原油需要が激減、価格暴落を招いたところに重ねてETF売りのマネーゲーム的な要素も重なり、マイナス価格になったのだとか。
そもそも原油採掘には当然ながらコストがかかり、国によってもその程度は違うが、調べたところ10~40ドル程度な感じ。
特にアメリカのシェールオイルはサウジ等で採掘している原油よりもコストがかかるため、40ドルくらいじゃないと厳しいみたいな記事をどっかで読みました。
当時は直近限月の価格がマイナスからは回復していたものの、10ドルそこそこで推移していたから明らかなオーバーシュート状態。これはチャンスだろってことで食いつきました。
結果的にどうなったかというと、入るのが早すぎたため、もう一段下げをくらい。。。
その後、買い下がった単価を回復したことで、GW手前に微益にて売り抜けました。
GW明けくらいからアメリカ経済が再開する目処立ってたみたいだから、そこまで持てばかなり勝ち確率あがるだろうな、と思いながららも、最悪の事態を想定してやむなく利確。
原油ETF1671の特徴
原油ETF1671は、シンプレクス社がETI原油先物の直近限月の価格推移に連動するように運用している投信のETF。
原油先物全般に言えることだけど、原油は保存にコストがかかるため、近い限月の先物よりも遠い限月の価格が高くなるという特徴がある。(これをコンタンゴというそうです)
投信の運用においては、直近限月の先物を中心に保有して、期限が近づいてきたら少し先の限月に乗り換える(ロールオーバー)ことで直近限月と連動することを目指している。
なので、はっきり言ってこれは長期で保有するものではなく、短期値上がりで勝負するべき商品。
1.ロールーオーバーがあること、2.恒常的にコンタンゴの状態であること(しかもいまは直近限月と遠い限月の価格差がかなり大きい)
を前提とすれば、長期保有ができない理由は明らかですよね。
私も短期値上がり勝負前提で入っていました。それもGW前に手放してしまった理由の一つ。
そんな1671ですが、この度、面白い運用をしているようです。
WTI原油価格連動型上場投信の買建玉の変化
直近の原油先物価格に連動するような運用を目指す投信ですから、基本的には直近限月を中心とした限月の先物にて買建玉を行っていたわけです。
歴史的な先物価格がマイナスをつけたのは、WTI原油先物の5月限月です。
その時にシンプレクスの投信は、6月・7月・8月限月で運用していました。
5月限月は持っていなかったおかげで直撃は免れたものの、6月限月も引き続き荒い値動きでしたので、そこから買建玉をロールオーバーしていって、7月・8月限月のみに変更していきます。
はっきり言って、6月限では急上昇する確率はかなり高かったので、ロールオーバーが早すぎただろと思っていますが、安定運用を目指す上では致し方なしかなと思っていました。
ここまでが、直近までの話。
そして、面白いことが起こったのは、5月8日のシンプレクス社の適時開示。
見ると、前日まで7月・8月限月の買建玉にて運用していたものを、8月・12月に運用変更しているではありませんか!
これは思い切ったロールオーバー!
というか、なんで今やったん?、という愚策に見えます。
直近限月がオーバーシュート状態だったのだから、それで運用していれば、短期的な大幅な値上がりが予想できたもの。
しかし、遠い限月の先物に乗り換えたことで、その急上昇の恩恵を受けることができなくなりました。
期限が遠い先物の方が、直近の原油需給に対する値動きの程度は小さいですからね。
これによって、直近限月先物価格に対する連動性は著しく落ちることが想定されます。
もともと短期運用に向いていた商品だと思いますが、その魅力も無くなってしまったということですね。
以上、残念な運用変更のお話しでした。
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