今日は久々に主力投資先であるスカラから良いIRがありましたので記事にしたいと思います。
日野町においてワクチン予約システムを開発していることは予想していたのですが、xIDも絡んだ実証実験は想定外でした。
Public dots & Compary(PdC)と共同開発した逆プロポをきっかけに、自治体との共創が良い形で結実したプロジェクトだと思うので、今後の展開も楽しみです。
それでは早速内容を見ていきましょう。
今回のプロジェクトについて
概要
まずは下記のスカラからのリリースをご覧ください。
リリースの内容は大きく二つです。
一つは、滋賀県日野町へワクチン予約システムを提供したということ。
もう一つは、xIDを用いた予約管理の実証実験を開始したことです。
xIDについては、このブログでも度々取り上げていますのでこれらの過去記事をご覧ください。
まず日野町へのワクチン予約システム導入についてですが、スカラからワクチン予約システムを開発していることの公表があったのは、今年の5月に開示された2021.6期のQ3決算説明資料でした。
決算説明資料の中にさらっと書かれていた文言ではあったのですが、昨今の情勢にタイムリーな話題だったので、その後の進捗が気になっていました。
この続報(?)が確認されたのは、スカラと業務提携を結んでいるPdCの代表取締役である伊藤さんの下記のtweetでした。
リンク先の記事に飛ぶと、「日野町では東京にある民間企業2社との別の事業での協力実績を踏まえ、企業と共同でプロジェクトチームをつくり、ワクチン接種の予約システム開発に2カ月がかりで取り組んできた」とありました。
日野町といえば、スカラとPdCが開発した逆プロポによる第一弾プロジェクトでイーデザイン損保が寄付した自治体です。
(詳しくは下記のリリースをご覧ください。)
日野町の逆プロポプロジェクトに絡んでいたのは、スカラ、PdC、イーデザイン損保の3社で、このうちイーデザイン損保はワクチンシステム開発をしないでしょうから、上の記事にあった「東京にある民間企業2社」とはスカラとPdCだろうな、と思っていました。
このワクチン予約システムは、今回のスカラからのリリースにもある通り、「自動音声応答や電話有人応答」にも対応しているとのことです。
これにはコールセンター支援に取り組んできたスカラの知見が生かされているのだと思います。
今回のプロジェクトの意義
今回のプロジェクトに一つ大きな価値があるのは、逆プロポが単発のプロジェクトに終わらず、そこで得られたつながりによって新たな共創プロジェクトが生まれたということです。
逆プロポは企業が持つ新規事業の予算を使うことにより、自治体→企業だったお金の流れを企業→自治体へと向かわせることができる仕組みです。
一見すると企業側にメリットがなさそうですが、逆プロポを使うことで、企業は自分たちが持つ技術力を使ってくれてなおかつ新規事業開発に協力的な自治体を容易に見つけ出すことができます。
逆プロポ単体で見れば企業側の予算を使うのみなのでそれ自体が企業の業績に直結するものではないですが、企業側は自治体というフィールドと同じ方向を向いた自治体職員を得られるという大きなメリットがあります。
今回のプロジェクトは、逆プロポで繋がった日野町・スカラ・PdCという3者が共同で新たに起こしたプロジェクトである、というところに大きな価値があると思います。
伊藤さんは別のtweetで次のように述べているので、おそらくこの日野町のシステム開発自体はスカラ(・PdC?)の持ち出しで行われており、利益になるものではないのだと思われます(会社に確認したわけではなくあくまでも推測です)。
しかしながら、ここで開発したシステムを他の自治体に横展開することができれば、それは立派な新規事業として成立します。
「ワクチン予約システム」だけだと向こう1年くらいの時限的なものですが、リリース中にもある通り、予約システムから派生した「自治体向け各種申請システム」の開発を進めているとのことなので、それが身になればスカラ・PdCにとっても大きな事業チャンスになると思います。
xIDとの共創
今回のリリースで私が予想外だったのは、xIDの名前が出てきたことです。
以前の給付金や今のワクチン予約にマイナンバーが使えないのかという不満はtwitter界隈をはじめ至る所で目にしています。
私はスカラとxIDが協力することでその不満を解消できると常々思っていて、それがスカラに期待する一番の理由でもあるのですが、今回、実証実験という形であれプロダクトとして実現するということが非常にポジティブな出来事だと思っています。
愛知県の官民共創デジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」でxIDとスカラの共創プロダクトは既に実現していますが、今回のオンラインによる自治体向け申請システムはまさに本丸だと思っています。
日野町という協力者を得たことで、住民に寄り添ったCXを向上させるプロダクトが構築できるのではないかと期待しています。
そしてそのきっかけが逆プロポから生まれたということも、逆プロポ自体のPRとして良い流れだと思います。
逆プロポについては現在第三弾までのアナウンスしかないですが、こうした流れができると第四弾、五弾と続きたい企業が現れるのではないかなと、そちらにも期待してしまいます。
ぜひともこの良い流れから良いプロダクトを開発して、今後大きく育てていってもらいたいです。
おわりに
今日は久々のスカラからのグッドニュースを深堀りしました。
スカラからは先日、プライム市場の上場維持基準適合のお知らせがありましたが、本業の方で目を引くトピックに乏しい日々が続いていました。
今回のリリースはすぐさま業績に直結するものではないですが、自治体DXを目指すスカラにとって大きな足掛かりになるプロジェクトになるのではないかなと思っています。
いろいろと種を仕込んでいる様子はわかるので、あとは早く芽を出して業績として結実させて安心させてほしいものです。
あと気になっているのはソフトブレーン売却資金を活用した新たな投資の進捗ですね。
もう2022.5期がはじまってそこそこ経つので、そろそろこの部分でも何か新情報がほしいです。
でもいずれは何かしら出てくると思うので、それまで楽しみはとっておいて、気長に期が熟すのを待つことにします。
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