5月の決算期の山場を迎え、監視銘柄もいくつか決算を終えました。
今回はその中から注目しているリネットジャパンの決算をとりあげたいと思います。
自治体との連携が拡大し続けるリサイクル事業など好調な国内Re事業と遅れてきた新型コロナの影響が大きくなっているカンボジアでの海外事業の落ち込みというバトルの構図の今回決算ですが、今の時点では好調の国内Re事業が打ち返す格好となっています。
国内Re事業のうちリサイクル事業は自治体との連携も続々と伸びており、競合が参入するのはほぼ不可能と思えるサービスなので、今後も大きく期待できると思っています。
早速レビューしていきましょう。
決算レビュー
各種指標についてみていきます。
連結業績について
まずは連結の業績について。
前年同期比でみると、増収増益となっています。
注目したいのは売上の伸びに比べて営業利益の伸びが大きいこと。
そして経常利益についてはすでに通期計画を超過しています。
前年同期の数字や計画値に比べて利益率が大幅に改善していることが一目瞭然化と思います。
これは事業ポートフォリオが大きく変化したことに起因しています。
それを理解するにはセグメント別に業績を見る必要があります。
リネットジャパンの現在のセグメントは、「国内Re事業」と「海外金融・HR事業」の2つです。
緑の棒グラフの「国内Re事業」は前年同期から売り上げが大きく増加、QonQでも増加しています。
一方で「海外金融・HR事業」は前年同期比、QonQともに減少しています。
「海外金融・HR事業」はカンボジアにおける事業で、このセグメントには車両販売事業・リース事業・マイクロファイナンス事業・人材送り出し事業が含まれますが、このうち車両販売・リース事業は新型コロナウイルスの影響により、短期的な市場回復が見込めないことから、引き続き新規営業を中止しているとのことです。
また、人材送り出し事業についても、入国制限の影響を受けているということです。
そのため「海外金融・HR事業」売り上げは大きく絞られています。
上のグラフからもわかるように、2期前までは「海外金融・HR事業」の方が「国内Re事業」よりも売り上げが大きかったのですが、今期はそれが逆転しています。
利益も売り上げと同様に「国内Re事業」が「海外金融・HR事業」を牽引する関係になっています。
「国内Re事業」だけでみると、経常利益が単Qで4億弱にまで膨らんでいます。
国内Re事業
「国内Re事業」のセグメントに含まれているのは、リユース事業とリサイクル事業です。
上のグラフにあるように、リユース・リサイクルのどちらの事業も、右肩あがりで成長をしています。
リユース事業の成長の理由は、店舗からネットというコロナ時代の需要を反映したものです。
個人的に注目しているのはリサイクル事業で、これは小型家電の宅配回収・リサイクルを行う事業になります。
同じ小型家電のリサイクル事業を行う事業者は数多くありますが、全国規模で宅配回収によるリサイクルサービスを展開している業者はリネットジャパン以外には見当たらず、参入障壁が非常に高い事業だと思っています。
そしてこのリサイクル事業では自治体との連携を進めていますが、すでに連携自治体は400を超えていて、人口カバー率は50%を超えるシェアになっているとのことです。
自治体を抑えるということは、社会的なインフラになることとと同義ですので、シェアを広げてしまえば自分たちで何かをやらかさない限りは長期で安定した収益を見込めるビジネスモデルだと言えます。
資料にもありますが、今期中には連携自治体数が500超えを視野に入れているとのことで、まだシェア拡大を進めているため今後さらなる売り上げ増が期待できます。
海外金融・HR事業
「海外金融・HR事業」では、いくつかのリスク要因を抱えています。
ひとつは、車両販売事業における債権回収です。
新規営業はいったん止めて現在は債権回収を進めていますが、今のところ順調に進捗している債権回収が、今後滞ってしまった場合、いずれどかんとその膿が放出されるおそれがあります。
それから、同じセグメント内でマイクロファイナンス事業を展開しています。
経済の先行き見通しが思わしくないため保守的な融資方針をとっているマイクロファイナンス事業ですが、現在、売上高は堅調に推移しています。
マイクロファイナンスは、貧しい方々への小口融資ということで、経済の影響を大きく受けることが想定されます。
カンボジアでは現在コロナが大きな波になっているので、これが経済を停滞させるくらいのことになってしまうとリネットのマイクロファイナンス事業にも影響をもたらすおそれがあります。
「海外金融・HR事業」のセグメントの中では比較的好調なマイクロファイナンス事業ですが、この先の情勢次第では足元をすくわれる可能性も考えておかないといけないかなと思っています。
おわりに
個人的にリネットジャパンの「国内Re事業」には非常に可能性を感じており、CM効果もあいまってこの1年くらいで大きく成長するのではないかと思っています。
「海外金融・HR事業」は現在厳しい風が吹いていますが、ここを耐えきることが出来て回復基調に入れば、好調な国内事業との二つの大きな柱となるので、企業価値は大きく変貌するのではないかと思っています。
カンボジアのコロナの行方が今後のカギを握っていそうですが、耐えきることができる方にベットするのであれば、現在の株価はなかなかおいしい水準ではないかなと思っています。
私はここ数日の日本株暴落の憂き目で資金余力が厳しくなってしまったので手が出せないでいますが、余力が回復したら、まずはスイングの主力に据えたいなと思っています。
とにかくまずは持ち株が早く回復してほしいものです・・・。
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