今週は株式のトレードはしなかったので、トレード記録はお休みです。
その代わりといっちゃなんですが、監視銘柄の決算が相次ぎましたので、気になったものをレビューしていきたいと思います。
この記事では監視銘柄の一つ、リネットジャパンを取り上げます。
早速みていきましょう。
決算レビュー
各種指標についてみていきます。
連結業績について
まずは連結の業績についてです。
昨年度のQ3累計期間との比較で増収増益を達成しています。
売上は11.5%の伸びですが、売上総利益は31.2%も伸びています。
販管費及び一般管理費も24.7%伸びていますが、売上総利益の方が伸び率が大きいので、より利益の出やすい事業ポートフォリオに変貌しつつあると見てよいのではないでしょうか。
もちろん、営業利益・経常利益もそれぞれ148.2%、72.8%と大きな伸びを示しています。
利益が出やすい事業ポートフォリオになったのは、後で述べますが、国内事業が好調のためです。
リネットジャパンのセグメントは、「国内Re事業」「海外金融HR事業」の二つです。
コロナが発生する前に業績を牽引していたのは、カンボジアにおけるマイクロファイナンス事業や車両販売事業等を手掛ける「海外金融HR事業」だったのですが、コロナ禍を受けて「マイクロファイナンス事業」を除く当該セグメントに含まれる事業は、新規営業を停止して債権回収を進めるなど、新たな売上をあげられない状況です。
そんな中でリユース事業やリサイクル事業を手掛ける「国内Re事業」が成長してきており、事業ポートフォリオの逆転現象が生じています。
今は完全に「国内Re事業」が牽引する形となっており、この「国内Re事業」のセグメントに含まれるリユース・リサイクル事業ともに利益率が高いため、おのずと全社的な数字でも利益率が向上しているという構造です。
ポートフォリオの変化については、こちらのスライドがわかりやすいですね。
セグメント別業績(国内Re事業)
次にセグメント別の業績をみていきます。
まずは成長著しい国内Re事業について。
上で述べたとおり、「国内Re事業」にはリユース品の通販サイト「ネットオフ」を運営する「リユース事業」、宅配便リサイクル事業を展開する「リサイクル事業」が含まれています。
現在はこの2事業が非常に好調です。
まずは、「リユース事業」についてみてみましょう。
リユース事業
リユース事業は、通販サイト「ネットオフ」の運営を行うものですが、他会社のECと同じく、コロナ禍によるライフスタイルの変化がポジティブな影響として働いた事業になります。
下のグラフがわかりやすいですが、コロナが流行り出した昨年第三四半期から売上が大きく伸びています。
そろそろ特需も落ち着いてくる頃かなとも思うのですが、意外にもこの四半期が過去最高の売上をたたき出しています。
もしかしたら一度定着したネットによる消費スタイルは、afterコロナの世界でもあまり変わらないのかもしれません。
そもそもコロナにafterが来る気配が全くありませんが・・・。
リユース事業については今後どれだけ業績を伸ばせるのかは未知数ですが、ライフスタイルとして定着すれば、急激に売り上げを落とすことは考えづらいため、今後も安定して稼いでくれる事業になると思います。
リサイクル事業
続いてリサイクル事業です。
こちらの事業が、私がリネットジャパンに最も期待している事業なのですが、ここが非常に伸びています。
まずはこちらのグラフをどうぞ。
直近3年の期間の中でも売上が急激に拡大しています。
この業績拡大の小さくない要因となっている思われるのは、全国の市町村との連携です。
こちらのグラフが示しているように、リネットジャパンと連携して宅配便リサイクルを行っている市町村は全国に450以上もあり、日本の人口に占める人口カバー率も50%以上となっています。
既に一企業の提供するサービスが公的なインフラとして認められているということです。
連携した市町村から毎年一定量のリサイクル回収が期待できますので、連携数が増えるほど今後も安定した稼ぎ頭になります。
また、最近はApple Japan等の民間企業と提携してサービス提供を開始しているので、官民問わずリネットジャパンのサービスが求められる環境が出来上がりつつあります。
宅配便リサイクルサービスについてはほぼリネットの独占なので、まだまだ今後の成長も期待しているところです。
セグメント別業績(海外金融・HR事業)
続いて「国内Re事業」と並んでもう一つの柱である「海外金融・HR事業」です。
こちらのセグメントに含まれる「車両販売事業」、「リース事業」についてはコロナ禍により短期的な市場回復は見込めないとの経営判断から新規営業を停止しており、現在は債権回収のみを進めている状況です。
また、同じく当該セグメントの「人材送出し事業」についても、入国制限の影響を受けて数字は芳しくありません。
このQ3ではセグメント売上228百万円に対して、75百万円のセグメント赤字となっています。
先ほどのセグメント全体の売上228百万円に対して、こちらのグラフで示されている「マイクロファイナンス事業」での売上が196百万円なので、その他の事業はほとんど売り上げをあげられていない状態だと言えます。
新規に売り上げが挙げられない状態でも一般管理費はかかりますので、赤字になってしまうのは仕方ないと思います。
2019.9期の数字を見てもらえばわかるとおり、「海外金融・HR事業」は、かつては企業業績を牽引していた事業なので、コロナが落ち着いてくればまた収益化が望めるのですが、当面は厳しい状況が続くことでしょう。
バランスシートの適正化
リネットジャパンの課題の一つである適正なB/Sの実現に向けて、今四半期も有利子負債、海外を中心とする資産の圧縮が続いています。
国内事業が好調なうちに、B/Sを適正な状態に保ち、次期成長戦略への備えが着々に進んでいます。
全体としては成長を続けながら、リスクマネジメントもきちんとしており、好感が持てます。
おわりに
今回は、リネットジャパンの決算レビューをお届けしました。
国内事業は、盤石な事業になってきたのではないかと思います。
特にリサイクル事業については、自治体の連携はもちろん、民間との提携も進んでいくと、サービス拡大余地はまだまだ大きいと思っています。
懸念の海外事業は当面先行きが不透明ですが、マイクロファイナンス事業を継続してカンボジア国内におけるプレゼンスを示しつつ、国家プロジェクトであるバコンに関する事業をうまく軌道に乗せられるとまた違った景色が見えてくると思います。
個人的には良い決算だと思ったのですが、目先の株価は下落してしまいました。
営業利益が既に通期計画を超過しているにも関わらず上方修正しなかったのがネガティブな印象を与えたのかもしれないですね。
私もそこは若干気になりましたが、会社説明によると超過利益については国内事業を中心とした戦略投資に回す、ということでしたので、長期的にみて悪いことではないかと思います。
昨年度は本決算時に多額の貸倒引当金を計上して当期純利益は大幅なマイナスを計上しましたが、営業利益は昨年度も黒字を確保できており、今年度はそれを更に伸ばしてきています。
本業は充実した様子が伺えるので、目先の株価に惑わされず、応援を続けていこうと思います。
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